どーも管理人のとらいぼです。
このサイトでは、エンジンオイルをメインに紹介・解説していますが、『石油』についても説明したいと思います。
エンジンオイルと石油は切っても切れない関係にあります。
今日のエンジンオイルがあるのは、間違いなく石油あってのものです。
この記事では、石油の歴史、企業、税金など、石油に関する基礎的な知識を紹介したいと思います!
そもそも、石油って何?
石油とは鉱物資源の一種で、広義的にはガソリンや軽油などの石油製品を含む場合がありますが、ほとんどの場合『原油』の事を指します。
原油は、地中深くに埋蔵されている炭素、窒素、硫黄、酸素など様々な物質から構成される液状の鉱物資源です。
石油の誕生については、様々な説が唱えられていますが、『生物の死骸』(生物の死骸(有機物)が重合していって、石油が出来上がった)とされる説が最も有力です。

石油は、古くは灯油成分がランタンなどの燃料としては使用されてきましたが、内燃機関が搭載された自動車が爆発的に普及すると共に、その価値も高まりました。
日本でも、日本書紀で『燃ゆる水』として登場するくらい古くからありました。
日本の第2次世界大戦の敗戦理由も、『日本に石油が無かったから』と言われているほど、非常に重要な資源だったわけです。
現在世界は脱炭素の方向に舵を切っていますが、今日の世界があるのは、間違いなく石油のおかげと言っても過言ではないです。
あと何年とれる?石油の可採年数とは?
石油の可採年数というものを説明します。
『石油(原油)があとどれくらいの期間、掘削できるのか?』
これを表したのが、『可採年数』です。

出展:資源エネルギー庁
資源エネルギー庁が公開している資料では、可採年数は『50.7年』となっています。つまり、あと50年は石油を使用できるわけです。
内訳をみると、圧倒的に中東が多いですね。シェールオイルのおかげで2位はアメリカです。
実は、この可採年数、ここ最近増加傾向なのです。
え?なんで、可採年数が増えるの?と思った方、、、鋭いです。
可採年数が増加している理由としては、新たな油田の発見や、掘削技術の進歩により、これまで掘削できないような土地にあったところも掘削できるようになったり等が挙げられます。
一時期は、石油が無くなる前に何とかせねば・・・という風潮があったように思いますが、最近は石油が枯渇する前に、自然エネルギー等の導入によって、石油を使用し無くなる世界が来る方が早そうです。
石油企業の世界歴史~メジャーって?~
石油と聞くと中東をイメージされる方が多いですが、実は石油発祥の地はアメリカです。
石油産業初期の競争を勝ち抜いたのは、『スタンダードオイル社』という会社で、ジョン・ロックフェラーという方が創設者です。
(ロックフェラーという名前聞いたある方いるかと思いますが、あの超金持ち一族のロックフェラーです。笑)
当時、灯り用の需要に加えて、自動車燃料の需要が上乗せされ、『スタンダードオイル社』は、とんでもない権力を手にすることになります。
あまりに大きくなりすぎたため、アメリカ連邦議会は『反トラスト法』というものを成立させ、スタンダードオイル社を34社へ分割させました。
日本でいうところの財閥解体みたいなイメージでしょうか。
34社へ分割された後にできた会社である、エクソン、モービル、ソーカルに加えて、ガルフ、テキサコ、イギリスのロイヤルダッチシェル、ブリティッシュ・ペトロリアムの全7社は、『セブンシスターズ』と呼ばれ、この時代の石油産業を牛耳ることになります。
セブンシスターズは、第一次世界大戦、第二次世界大戦において、とんでもない影響力を持っていましたが、今度は『OPEC』という勢力が出てきます。
OPECとは、産油国の地位を確立するために設立された組織です。ざっくり言うと中東の石油王のイメージです。
要は中東の人たちからすれば、自分たちの住んでる土地から生まれる資源なのに、なんでアメリカやイギリスだけが美味い汁を吸ってるんだと。自分たちにもその美味い汁を吸わせろ!って言ってできたのが、OPECです。
そして、このOPECも強大な権力を持っていくことになります。時代はセブンシスターズから、メジャーズ、OPEC、それ以外の非OPECの時代になります。
(三国志みたいですね。笑)

近年は、この3大勢力に加えて、中国のペトロチャイナや米国のシェールオイル会社などが台頭してきています。
石油の精製について
原油は、そのままでは日常生活において、使うことができません。輸入されてきた原油は、『蒸留』という過程を経て、ガソリンや灯油、軽油、そして潤滑油基油に分けられるのです。

『蒸留』とは、各成分を沸点別に仕分けする方法です。最も軽いのがナフサ、最も重いのがアスファルト成分になります。
石油元売り会社は、言ってしまえば『蒸留をする会社』です。輸入されてきた原油をアホみたいに大きい製油所と言われる工場で、この蒸留をするわけです。そして、製油所から日本各地へ石油製品が配送され、日本を支えているのです。
東日本大震災の時に、各地のガソリンスタンドでガソリンがなくなる騒ぎがありました。あれは、地震のせいで、製油所の稼働が止まったからなんですね。
おそらく停止していたのは、1週間ほどだったかと思いますが、たった1週間製油所が止まっただけで、あれだけの大騒ぎですから、日本がどれだけ石油というものに依存しているのかがよく分かる事件だったと思います。
日本の石油に関する税金について
石油諸税についても、簡単に解説しておきたいと思います。
石油は、日本に輸入される段階から多額の税金がかけられています。
まず、輸入された原油にかけられるのが、『石油石炭税』です。
その後、蒸留によって各製品に分けられ出荷する段階でかけられます。

ガソリンを例にとって解説すると、ガソリンにかけるのは『揮発油税』と『地方揮発油税』です。この2つを足したものが『ガソリン税』と呼ばれます。
そして最後は、『消費税』です。ここで注意なのが、消費税がかかるのは本体価格に対してではなく、本体価格+ガソリン税の額に対してかけられます。
これが世に言われる二重課税というやつですね。
図を見て、『いやほとんど税金じゃん。』って思った方・・・正解です。
今後はEVが主流になるのを見越して、政府が走行税なるものを検討しているという噂を聞きますが、走行税を導入するなら、この二重課税をまず解消してほしいですね。
日本の石油関連企業
日本の石油関連企業について解説します。石油企業といっても業態によっていくつくかの種類に分けられます。
石油元売り~石油製品の製造~
現在、石油元売りはENEOS、出光興産、コスモ石油の3社ですが、昔は数十社ありました。それが、石油需要の減少を背景に業界再編され、3社にまで減少したのです。
石油元売り企業を改めて説明すると、輸入された原油を自社で蒸留し、ガソリンや軽油などの各製品を製造する企業の事を言います。オフィシャルな定義はないと思いますが、製油所(蒸留をする工場)を保有しているかどうかかなと思ってます。
一般的に石油企業というと、この元売りを指すことが多いです。
石油開発~石油の掘削~
輸入された原油を蒸留するのが、石油元売りならばその石油を掘削して日本に持ってくるまでが役割の企業もいます。この企業の事を石油開発と言います。
国内で大きい企業ですと、『国際石油開発帝石(INPEX)』と『石油資源開発(JAPEX)』が有名どころです。
元売りと違って、あまり知られていない業界かもしれませんが、実はこの業界、色々な意味でとんでもない業界です。
そもそも石油なんてものは掘ってみないと、どんな質の原油がどれだけ眠っているかなんて分かりゃしません。なので、鉱区の調査を綿密に行い、掘削する段階でも少しずつつ掘っていきます。
実際にきちんと掘削できる段階になったとしても、そこまで十数年の年月がかかります。そして、数十億のコストがかかります。
そこまでリスクを負って、ようやく収益化にたどり着けたとしても、国の政策やらなんやらで、掘削を中止しなければいけない事もあったりするわけです。
もはや、リスクだらけですね。。。
ですが、このリスクを負ってくれる会社がいないと石油産業が成り立たないのも事実です。(ありがたや~)
石油販売会社~石油製品の販売~
元売りというのは、あくまでメーカの立ち位置で、実際に消費者に石油製品を販売しているのは別会社になります。
石油製品と言ってしまうと、非常日幅が広くなるので、ここではガソリンスタンドを経営している会社として紹介します。
ガソリンスタンドの経営会社は、元売りの子会社系、商社系、農協系などに分かれます。元売り子会社系であれば、『ENEOSフロンティア』、『ENEOSジェネレーションズ』、『出光リテール販売』、『コスモ石油販売』が挙げられます。
商社系であれば『伊藤忠エネクス』、『カメイ』、『宇佐美』、などが大きいところです、
ガソリンスタンドって聞くとどうしても、ENEOSとIDEMITSUなどのブランドイメージが大きいですが、実は経営しているのは別会社なのです。
この業界も石油元売り同様、EV化の流れにどう対応していくか、注目の業界です。
まとめ
石油に関することを、総括的まとめてみました。もちろん、ここで書かれていることが全てではないです、1ページで収まるほど浅い世界ではありません。
現在、世界は脱石油の方向に向かっています。
それは正しいことだと、管理人は思います。
ですが、石油そのものを悪だとする見方は、良いとは思えません。今の豊かな暮らしは、確実に石油があったからこそなのです。
今の生活水準を保ちつつ、脱石油を目指すのは技術的にも経済的にもハードルは非常に高いと言わざるを得ないです。
しかしながら、そのハードルをクリアするのも、石油業界で長年培われてきた技術であると、管理人は思います。
現在の日本に住んでいて、石油の恩恵を全く受けていない人などいないので、少しでもこの業界に興味を持って注目してくれる人がいると、管理人はうれしいです。