どーも管理人のとらいぼです。
『潤滑油やグリースって、中身は何が入っているの?』
皆さん、そう思ったことは無いでしょうか。
そんな疑問に初心者にも分かりやすく、お答えしていきます。
潤滑油の組成
潤滑油は、ざっくりいうと『基油(ベースオイル)』と『添加剤』から構成されています。割合としては、80%~90%が基油、10%~20%が添加剤です。
基油(ベースオイル)
まずは、『基油(ベースオイル)』から説明していきます。
基油とは、その名の通り、『潤滑油の基になるオイル』です。潤滑油にとっては、最も重要な構成要素です。基油にも様々種類があって、大まかには『鉱油』と『化学合成油』に分かれます。
基油についてもっと詳細を知りたい方は、下記のページからどうぞ!
鉱油(こうゆ)
『鉱油』とは、主に石油(原油)から得られる油のことです。原油は、蒸留という方法で、ナフサやガソリン、軽油などの様々な石油製品に分けていきますが、その方法で得られるオイルです。
潤滑油は、この『鉱油タイプ』と後述する『合成油タイプ』と、鉱油と合成油をブレンドした『鉱油&合成油』の3種類に分かれます。
鉱油は合成油と比較して、圧倒的に安価なため、市場の潤滑油は実はほとんどが『鉱油タイプ』になります。
鉱油がどのように得られるかは、下記リンクの石油について紹介したページで解説していますので、気になった方はぜひご覧になってください。
合成油
『合成油』とは、化学合成を行って、得られる油のことです。
合成油の場合は、石油元売りではなく、専業の化学メーカが製造・販売しているケースが多いです。
代表格は『PAO(ポリアルファオレフィン)』です。
(こちらも詳しくは、技術ページに記載しているので、気になった方はぜひご覧になってください)
合成油は種類によって異なりますが、低温性能に優れていたり、耐熱性に優れていたり、粘度特性に優れていたり、とにかく性能がよいです。
そのため、合成油は、鉱油と比較すると『高価格』になっています。
潤滑油の研究開発を行っていて思うのですが、『潤滑油なんてどれも一緒でしょ』、という認識があるのか、買いたたかれる事が非常に多いです。
当然、安ければ安いほど良いので、価格を重要視する気持ちは分かりますが、管理人の立場としては、ちょっと辛いですね。笑
添加剤
基油の次は、『添加剤』です。添加剤とは、基油の性能を少し向上させたいときに使用するものです。
なんか、ドーピングみたいですね。笑
潤滑油は、個々の機械にマッチしたものを使用する必要があるのですが、その性能を微調整するために、この添加剤を加えています。
例えば、『潤滑油A』と『潤滑油B』があって、とある機械に入れて動かしてみたところ、『潤滑油A』の方が『潤滑油B』より発熱は抑えられましたが、動力損失も『潤滑油A』の方が大きくなってしまいました。
潤滑油A | 潤滑油B | 潤滑油C | |
発熱 | 〇 | × | 〇 |
動力損失 | × | 〇 | 〇 |
この場合は、『潤滑油B』に摩擦摩耗を低減させる添加剤を加えた『潤滑油C』をつくことで、解決します。
非常に簡単な例ですが、このような形で潤滑油の研究開発とは行われているのです。
添加剤にも様々種類があります。
摩擦摩耗防止剤、酸化防止剤、防錆剤・・・・
より詳細な添加剤の情報は下記リンクでも紹介しているので、気になった方はぜひご覧になってください。
グリースの組成
グリースは、潤滑油とは少し組成が異なります。
潤滑油は『基油』+『添加剤』でしたが、グリースの場合、ここに『増ちょう剤』が加わります。
グリースの例えとして、よくスポンジが用いられます。
例えば、スポンジに水は含ませた状態をイメージして下さい。これがグリースの状態です。
水が基油+添加剤、スポンジが増ちょう剤です。
この増ちょう剤が基油をしっかり吸って保持してくれているので、ねとねとした水あめのような形を保っていられるのです。
割合としては、基油が80%~90%、添加剤が1~5%、増ちょう剤が5%~20%くらいになります。
グリースに関しては、かなり特殊なので、技術ページで詳しく記載していますので、ぜひご覧になってください。
まとめ
潤滑油の組成について、簡単にご紹介しました。
潤滑油というのは、見た目で何が入っているのかを判断するのは非常に困難です。というか無理です。笑
なので、もし皆さんが潤滑油が購入する場合、このページで書いた基本的な事を知っていると、いい加減なセールスに騙されずに済むと思います。
『この潤滑油には鉱油はどれくらい入ってますか』とか『添加剤はどんな種類のものが入っていますか?』とか突っ込んでみてください。きちんとした知識を持ったセールスなら、それなりの答えが返ってくるはずです。笑